夏堀正元『北の墓標』

明治26年3月20日、隅田川河岸は小さなボートの探検隊を見送る人々で賑わいを見せていた。探検隊を率いるのは元海軍大尉で、幸田露伴の兄、早くから北千島の地政的重要性を見抜き、自ら千島の拓殖を志すようになった郡司成忠。北千島・占守島に向け、華やかな見送りを受けた郡司成忠一行だったが、その北方行には、悪天候、反感、暴力、死、挫折が待ち受けていた。北方の探検家・開拓者の郡司成忠と報效義会を描いた歴史小説。
配信開始:2023年6月1日
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夏堀正元(なつぼり・まさもと)
一九二五年(大正十四年)一月三十日、北海道小樽市で小地方裁所判事・夏堀悌二郎(のちに北海道会議員を経て公選初代八戸市長)の子として生まれる。一九四一年(昭和十六年)に中央大学予科入学、一九四四年(昭和十九年)旧制早稲田大学国文科に入学。学徒出陣し、戦後大学に戻るが、一九五〇年(昭和二十五年)に中退、北海道新聞社に入社、東京支社で社会部記者をつとめる。一九五四年(昭和二十九年)に退社し、作家活動を開始。一九五六年(昭和三十一年)『呪文脱出』を『新潮』に発表し、作家デビュー。一九六〇年(昭和三十五年)下山事件を題材とした長編小説『罠』で評価を得る。『青年の階段』『海鳴りの街』『北の墓標』『北に燃える』『風来の人』『愛と別れの街』『豚とミサイル』など多数の作品を発表した。一九九九年(平成十一年)一月四日死去。七十三歳。
関連作品
この作品の参考文献
制作にあたって
表紙画像:「占守島ヨリ幌莚片岡湾ヲ望」(北海道大学付属図書館所蔵)